実用金属中最高クラスの19.3g/cm3の密度を誇るタングステンの極細ワイヤーを、一般的な生地にも使われるニット編みにより、金属繊維生地の製造に成功しました。
この生地を縫製することで、放射線遮蔽服、医療用途など様々な展開が期待されます。
東邦金属の技術で滑らかな繊維状に加工したタングステンを、繊維メーカーの協力により編み織られた、「タングステン製放射線遮蔽生地」は、既存の遮蔽体と同等の遮蔽能力を有し、かつ、軽量で柔軟性が高く、原子力発電所における防護服や、医療分野における新たな遮蔽材としての展開が期待されています。
「タングステン製放射線遮蔽生地」使用の放射能防護服
実験では、γ線遮蔽率10.7%という値が得られました。
生地の多層化や、タングステン板(0.1mm)等との組み合わせにより、25%以上の遮蔽も可能です。
生地にすることにより、軽量で柔軟性の高い、新たな遮蔽体としての開発に成功しました。
人体に装着する防護服等にこの遮蔽生地を用いた場合、
今までの重く扱いにくい遮蔽体に比べ、作業者への負担を大きく軽減することが可能です。
更なる遮蔽率向上に向けて日々実験を進めており、早期の実用化を目指してまいります。
※遮蔽率は、名古屋大学内コバルト60γ線照射施設にて測定しています。
タングステン100%でありながら、ゴムシートのような柔軟性を有し、自由に折り曲げたり包み込んだりできるシートの開発に成功しました。変形性の自由度が高い為、一般的なタングステン板では実現が困難であった領域への可能性を秘めており、今までの既成概念を打ち破る新しい用途に期待されています。
フレキシブルタングステンシート
<特徴>
<放射線遮蔽性能>
<可能性のある用途>
フレキシブルタングステンシートのX線遮蔽性能
フレキシブルタングステンシートは、密度12(g/cm³)と鉛の密度である11.3(g/cm³)を上回るように設計されておりますので、鉛と同等の遮蔽性能であるならば、より薄くすることが可能となります。
また、鉛のような鉛害に留意する必要も無く、環境に対しても配慮された製品と言えます。
<X線遮蔽性能>
※1枚で約90%、2枚以上で約98%の遮蔽性能。
※放射線遮蔽性能測定においては、JIS Z 4501に準じて、透過X線量の測定により鉛当量を求めた。(管電圧:100kVのX線を照射)