
タングステン線・棒は、その高温特性を利用して電球フィラメント、ランプ構成部品として幅広く用いられています。また、高純度タングステン製造にも成功しており、各分野で高い評価を得ています。
記号 | 特徴 | 用途 |
---|---|---|
PL | 延性及び加工性に優れた標準的なドープタングステン | 放電灯・電子管用電極 アンカー他 |
PLD | ノンサグ性、耐振性に優れているドープタングステン | 高性能電球用フィラメント |
PLD-S | PLDのハイスペック品で、超高温用に最適なドープタングステン | |
SS | 酸化トリウム(ThO2)添加タングステン ※含有率1.8~2.0% | 放電灯・電子管用電極 TIG棒 |
WL WY WC |
WL(エルタン)…酸化ランタン(La2O3)添加タングステン ※含有率1.8~2.2% WY(ワイタン)…酸化イットリウム(Y2O3)添加タングステン ※含有率1.8~2.2% WC(シータン)…酸化セリウム(Ce2O3)添加タングステン ※含有率1.8~2.2% 安定したアークスタート性を有し、耐消耗性が極めて高い。 また、いずれも放射性物質が含まれていない |
溶接用電極 TIG棒 |
PW4N PW5N |
不純物を極限まで減らした、高純度材料 PW4N…タングステン純度99.99%以上 PW5N…タングステン純度99.999%以上 |
特殊放電灯用電極 |
ノンサグ性に特化したドープタングステンであるPLDは、その再結晶組織において線軸方向に長大且つ、くさび形に噛み込んだ(インターロック)結晶粒が認められます。
この長大な結晶粒により耐変形性能が生まれ、この組織をノンサグストラクチャーと称します。
これに対して、ドープをしていないタングステンの例として、高純度タングステンであるPW5N(系内に不純物を嫌う特殊放電灯用電極などにご使用頂いています)の結晶粒は石垣状になっています。
モリブデン線・棒は、高温での機械的強度に優れ、成形加工が容易であるために幅広く用いられています。
記号 | 特徴 | 用途 |
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M | 純モリブデン(純度99.98%以上) 再結晶温度/1100℃ |
マグネトロン用部品 アンカー他 |
Y | 優れたWR(ワーキングレンジ)特性を示すドープモリブデン 再結晶温度/1100℃ |
電子管用グリッド |
C | 再結晶温度が高い耐脆化性材料 再結晶温度/1500℃ |
ハロゲンランプ用導入線 サポート |
MCC | C材より更に再結晶温度が高い、線用-耐脆化性材料 再結晶温度/1800℃ |
ハロゲンランプ用導入線 サポート、ヒーター |
S-Mo | C材より更に再結晶温度が高い、線・板用-耐脆化性材料(スーパーモリブデン) 再結晶温度/1800℃(線)・1600℃(板) |
MCC材の用途に加え、高温炉の反射板、焼結用ボート・敷板 |
純モリブデンは再結晶により高温特性が低下します。一方、高い再結晶温度を有するC材、MCC材、S-Mo材は、高温域までモリブデンの高温特性を維持します。(破線より下の写真が、再結晶組織を現しています。)